© The National Library of Latvia

2025年1月、ラトビアは建築家Gunārs Birkerts(グナールス・ビルケルツ)を、時代を先取りした建築家として称えます。ビルケルツは、ミネソタ州やリガなどあらゆる都市において、モダニズムのデザインで公共空間を再定義しました。彼の作品は、光、象徴性、文化的記憶を、単なる建築物を超越した構造に織り込んでいます。

光とメタファーを操る建築家

コーニングガラス美術館を思い浮かべてみてください。そこは周囲の自然と見事に調和し、曲線を描くギャラリーには陽光が優しく差し込んでいます。あるいは、ラトビア国立図書館を思い描いてください。その特徴的なフォルムは非対称に空へ伸び、ラトビアの民話の世界観を深く映し出しています。光を自在に操り、大胆な形態を創出し、象徴的な表現を織り込む — これらはビルケルツの建築様式の真骨頂であり、彼の手がけた300件近い公共プロジェクトにおいて、それぞれの作品を唯一無二のものとしています。

ビルケルツは、メタファーや文化的な象徴性を頻繁に作品に取り入れました。「光の城」として知られるラトビア国立図書館は、知恵の探求に関するラトビアの民話からインスピレーションを得ています。その印象的なフォルムはガラスの山を想起させ、王女を救うために山に登る三人の騎手の物語を引き合いに出しています。またそれは、独立のために戦うラトビアの痛切な寓意であるとも捉えられます。館内には、伝統的なモチーフがデザインの随所に意図的に組み込まれているのが見て取れます。

「静かに都市の景観に溶け込むことよりも、自由の象徴が必要とされる時がある。建物が語りかけることの方が重要なこともある」と、ビルケルツは親友であり同僚のJānis Dripe(ヤーニス・ドリペ)に語りました。それゆえ、「光の城」が世界で最も建築的に傑出した8つの図書館の一つに選ばれたのも頷けます。

© © Kulturaskanons.lv / Timothy Hursley.オハイオ州立大学法学部の増築部分、コロンバス

© © Kulturaskanons.lv /Balthazar Korab.ダルース公共図書館、ミネソタ州ダルース

© © Kulturaskanons.lv /Balthazar Korab.ミネアポリス連邦準備銀行、ミネソタ州

コミュニティ中心の建築という遺産

ビルケルツは、商業プロジェクトではなく文化、教育、市民プロジェクトに焦点を当て、公衆の利益となる空間を設計することに生涯を捧げました。彼のポートフォリオには、図書館、美術館、学校、教会などが含まれます。Jānis Dripe(ヤーニス・ドリペ)が語ったように、「彼の使命は建築を通して地域社会に貢献することだった」のです。

コミュニティを重視し、建築の質の高さを追求したビルケルツは世界的に認められるようになりました。例えば、ニューヨーク州コーニングにあるコーニングガラス美術館のビルケルツによる増築は、開放的で光に満ちた空間と、滑らかで流れるような曲線で知られています。このデザインの中に、液状から固形へと変化するガラスの性質が巧妙に表現されています。同様にミシガン大学法科図書館別館は、屈折した自然光を利用して開放的で繋がりを感じさせる地下空間を作り出しています。まさにデザインにおける偉業です!注目すべきことに、両方の建物がアメリカ建築家協会(AIA)によるアメリカ国内の傑出した建築物150選に選ばれています。

ビルケルツは、建築が物理的な形を超越し、コミュニティにインスピレーションと教育を与え、団結させる空間を創造できることを作品を通して示しました。

© Kulturaskanons.lv. Gunārs Birkerts

生誕100周年記念

2025年はグナールス・ビルケルツ生誕100周年を記念し、1月17日を中心に様々なイベントが開催されます。

ラトビア国立図書館では現在、彼のイタリアでのプロジェクトを紹介する展覧会「建築家グナールス・ビルケルツ – イタリア時代」を鑑賞できます。

2025年1月17日には、世界19か所の図書館建築に焦点を当て、ラトビア、アメリカ、そしてグローバルな視点から彼の遺したものについて考察する展示「ビルケルツ、図書館、光」が開催されます。

記念行事は2025年3月27日、ラトビア国立図書館での国際会議「LIGHTmatters」へと続きます。ビルケルツ研究の専門家であるMartin Schwartz(マーティン・シュワルツ)教授をはじめとする著名な学者たちが、ビルケルツの革新的な光の使い方と建築に与えた永続的な影響について探究します。

「光の城」を訪れるなら、1階と12階にある常設展「光の城とガラスの山 — ラトビア国立図書館プロジェクトの物語」もぜひご覧ください。12階では、ビルケルツの私物や建築スケッチが展示されており、まさに特別な魅力にあふれています。